ひっそりと難易度を上げるサピックスの説明文

私はサピックスの科目の中で一番国語が好きです。選択する文章および問題が秀逸だからです。一方で、同時にある違和感を感じています。それは「通常授業と定期テストのギャップ」です。例えば算数。マンスリーテストでも組み分けテストでも「あーこれ以前練習したパターンだよね」「これはあの問題集に載ってたよね」と認識することができる上に、様々な問題パターンをしっかり復習・定着させることができれば成績を上げることができるという道筋が見えます。それは社会・理科についても言えます。
しかし、国語にはそれが見えません。どういうことか説明します。サピックスの小4では物語文:説明文=8:2くらいの割合で学習します。つまり、かなり物語文の読解にウェイトを置いており、説明文についてはあまり触れません。そもそもサピックスの復習を普通にこなしていると説明文に触れる時間が非常に限定的になるのです。一方で、サピックスのテストでは物語文と説明文がそれぞれ55点となっており、説明文の出来不出来も国語の成績に大きな影響を及ぼします。さらに、夏休み明けくらいから月を追うごとに説明文の文章量・問題の難易度共にじわじわと上昇し続けています。先日実施された新小5の組み分けテストの説明文を見た時に「あ、また難易度上げてきてるじゃん!」と率直に思いました。つまり、ステルス的に説明文の難易度が上がってきているわけです。この通常授業で割かれるウェイトの低さに比べてどんどん骨太になる試験問題のギャップは他の科目には見られません。(これについては近いうちにサピックスの先生に直接聞こうと思っています。)

娘は物語文よりも説明文に問題を抱えています。根本的には見慣れない文章の読解作業・紛らわしい選択肢問題にてこずることで、説明文に想定以上の時間がとられてしまい、本来しっかり時間を使って解かなければいけない物語文に時間を割けず共倒れになる状態です。サピックスのテストでは説明文→物語文という構成になっているので、順番に解き進めると最初に説明文を解く必要があります。以前時間がない問題を解決するためにあえて物語文から先に解くべきだという議論を娘としたことがあるのですが、なんとなく後ろから解くのは嫌だということで必ず説明文から解き始めています。そして毎回時間が足りずに撃沈。。。

話はややそれますが、国語の成績向上には一つ大切なポイントがあります。それは「既視感」です。当たり前の話ですが、何にも知らない状態で文章を読み進めるのと、ある程度前提知識がある状態で文章を読み進めるのでは読むスピードも理解度も全く異なります。物語文であれば「ストーリーパターン」です。この展開はこうなるだろう、この場合主人公はどういう気持ちになるはずだといった事前知識は読解の助けになります。一方で説明文・論説文についてもそのトピックについての事前知識が必要なのは言うまでもないですが、それに加えて論理展開パターンについても知っておいた方が良いと思っています。この知識を蓄えるために必要な事は、より多くの説明文・論説文を日頃から読み慣れておくことなのではないかと思っています。

我が家では日頃NHKニュース動画の視聴・毎日小学生新聞を読ませることで今世の中で何が起きているかについてのアンテナを張らせています。したがって娘は今世の中で何が起きているのかについては良く知っています。(私が知らないうちに「政治資金規正法」について知っていた時は驚きました(笑))一方で、ある程度重厚な論理展開を伴うような「文章」については小学生新聞ではそこまで読み慣れることができないと感じていました。小学生新聞はあくまでも世界を知るための道具でしかないという位置づけなのです。

昨晩いろいろと思案を巡らし、「ちょっと厳しいかもしれないけど、大人の文章読ませるか。」と思うに至りました。こういうのは毎日触れさせるのが大事です。手ごろな説明文・論説文の本を探して読み進めるのでも良いのですが、そうなると時間もかかるうえにさまざまなテーマの文章を読むことができません。となると、手ごろなのはやはり新聞です。私は毎日日経新聞を読んでいますが、これはこれで難しすぎますし、トピックが政治経済に偏りすぎていてダメです。そこで、朝日新聞(デジタル版)を購読し、私が毎日手ごろな長さ・トピックの記事を印刷したうえで、娘と一緒に読むことにしました。「ひっそりと難易度上げるサピックスを見返してやろうよ!」ということで娘も昨晩は朝日新聞記事の読解には前のめりでした。(正直いつまで続けられるか分かりませんが(笑))したがって、今日から毎日3分かけて二人で記事を読み込み、もう3分かけてその記事について議論・解説・分からない言葉は解説という感じでやり始めようと思っています。

本来説明文・論説文を読むことは「知の獲得作業」に他なりません。私はこの中学受験を通して、「読解=試験・勉強」という認識を超えて「読解=新しい知の獲得」という認識に娘が至ることができるようになるまで昇華させたいと思っています。

本日もお読みいただきましてありがとうございます。

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