私は金融業界に勤務するようになってから、学歴社会というものを強く感じています。能力が高ければ学歴なんて関係ないというのは完全におっしゃる通りなのですが、会社組織においてそのような柔軟な思考を持つことはなかなか困難です。したがって、日本では引き続き「学歴（特に大学）」というのは大きな意味を持ちます。そして、私が痛感するのは「早稲田・慶応以上か、それ未満か」という大きな基準です。よく「早稲田・慶応・東京理科大・上智」というくくりを見かけますが、早稲田・慶応と理科大・上智では機会や待遇に差があることは否めません。

以前サピックスに通う子供たちの平均的な進学先大学はMARCHだということが話題になりました。MARCHだって十分立派な大学です。ここに私も異論は全くありません。しかし、現実問題として社会に出るときもしくは出た後にやっぱり職業機会や待遇面で違いが出てしまうことは否めません。それは会社の規模が大きかったり、その業界でトップであればあるほど関係してきます。

よく「中学進学後は鉄緑会に通って東大を目指す」なんて話を聞きます。確かに東大に行けるのであれば行くに越したことはありません。ただし、東大を卒業するのと早慶を卒業するのでは社会に出た後の違いは実はそこまで大きくないと感じています。したがって、学びたいことがあるのであればその学問に力を入れている大学に行けばよいのではないかと感じています。ただし早慶以上で。

ところで、卒業高校がどこかというのは社会に出るとほとんど意味を持ちません。私は業務上新卒の採用インタビューをすることが多いです。筑駒・開成・桜蔭・女子学院・・・そうした難関高校の卒業生と話す機会はざらにあります。中学受験に突入している家庭の親としてはどうしてもピクッとすることはあります。が、金融のプロフェッショナルという立場から彼らを見定めるときに出身大学や人となりは見ますが、出身高校はどうでもよいファクターです。

そうした社会の実情も踏まえると、私は娘に何とか早慶以上の大学（このまま日本の大学に進学するのであれば）に進学させてあげたいと考えています。

よく「東大進学ランキング」というのを目にします。一方で「早慶進学ランキング」というのはそこまで目にしません。そこで、各学校が発表しているデータをもとに進学率を算出してみました。私が一つの基準にしているのは「現役で早慶に何%の生徒が合格するか」という数値です。私の経験上、この数値が60%以上あると「早慶に普通に現役合格してるなぁ」と感じるレベルだと思っています。

算出してみて興味深かったのは男子校の浪人率の高さです。特に筑駒と開成が高いです。おそらくですが、彼らは東大や京大への進学を目指しているために、早慶に合格しても進学しないからなのではないかと推測しています。社会に出てみると「どっちでもええやん」って思いますが、高校生からするとそうはいかないプライドみたいなものがありますので、それも理解できます。

早慶への現役合格率で注目すべきなのは男子の聖光学院と女子の洗足学園です。特に聖光学院の合格率は驚異的であるともいえます。そのほか、男子校では駒場東邦や海城・栄光学園も早慶以上というくくりでは「普通に進学できる」レベルの学校であるといえます。また、女子高では女子学院・豊島岡・フェリスあたりは高い水準であるといえます。桜蔭は浪人の実績を非開示にしているので現役の割合はわかりませんが、おそらく女子学院よりも高い数値になるのではないかと推測されます。共学では渋幕・渋渋はさすがの実績です。

もちろん上記に載せたいずれの高校も立派な学校ですので、優劣はつけられません。早慶進学という観点で見ると、東大進学とはまた違った学校像が浮かび上がります。

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