難関校の算数トレンドについて

私は中学1年から大学院修了までの約10年強に渡って数学の世界に浸ってきました。当然算数よりも全然長い時間付き合ってきましたので、算数の世界よりも線形代数や微分・積分のような数学の世界の方がよっぽど身近に感じています。その分、算数の入試問題は私的には非常に新鮮であり、小学校指導要領という非常に限られた内容の中で紡ぎだされる名作と呼ばれるような問題にはある種感動のようなものを感じます。

中学入試というものは私立中学が入学させたい学生を選抜するための試験ですので、当然中学入試問題には中学校側から受験生に対して「私たちはこんな子供たちに入学してきてほしい」というメッセージが含まれていると考えています。算数の問題においても必ず中学校側からのメッセージが隠れており、いろいろな中学校の過去問を見てみると学校によってさまざまな特色があり本当に興味深いと感じています。

ところで、私はワンダーファイ創業者の川島慶氏を非常に有能な算数・数学教育者だと認識おり、娘には同氏が制作に関わった「なぞぺー」シリーズを低学年時には良くやらせていました。算数ラボに並ぶ非常に優れた低学年向け問題集だと思います。そんな同氏が運営する情報発信サイトでは毎年中学入試算数の良問大賞なるものが発表されており、私も注目しています。

川島氏曰く、最近の中学入試算数はトップ校を中心に「誠実な難問」を出題しているそうです。「誠実な難問」とは「一見、似たような問題や設定を見たことはないものの、本質を正しく理解しており、基本的な知識をもとに試行錯誤できれば極めて自然に解ける、正当な厳しさを伴った問題」だそうです。私個人としてもこのような中学入試トレンドは歓迎すべきだと考えています。中学生の領域まではみ出て学習したか、高度なテクニックを有しているかというのは選抜試験において試されるべきではないと考えているからです。それよりも、各単元について小学生なりに深い部分まで理解できているか、そしてそれを「実用的な道具」として使いこなせるレベルまで昇華できているか、さらにそこから新たな性質や抽象的な事実の発見にまで至れるかどうかというのが難関校から子供たちに発信されるべき共通のメッセージだと考えています。これらの考え方はこの先の学習においても科目を問わず重要となる考え方です。

例えば、良問大賞に選ばれている聖光学院の時計の問題は基本的でありながらそもそもの前提条件を変更して物事を考えさせるという点では、川島氏も言及している通り学問の本質的な面白さであり、社会人になっても必要となる思考力だと考えています。こうしたタイプの問題は事前の対策はなかなか難しいとは思いますが、日常生活の中でもこのようなことを考える癖は身につけさせてあげられるのではないかと考えています。娘は女子ですので聖光学院に行くことはありませんが、この問題だけ見ても魅力的な学校なんだろうなと思います。

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