娘がP算数オンラインについていけなくなったワケ

娘にはP算数オンラインを小学2年生の頃から取り組ませてきました。もともとは通塾させようとしたのですが、入室テストに合格できず、たまたまオンラインでも同じ内容を受講できるということを知ったのがきっかけです。P算数オンラインでは進学塾よりも半年から1年ほど先取りした内容を学習します。子供に先取りさせることで、凡人でも受験に有利なポジションを築きましょうというのが目的です。結論から言うと、この手法は確かに中学受験において有利に働きます。単純に他の子供よりも早く学んでいるにすぎないので、本質的な学力の向上にはつながりませんが、「知らないことを知っていく事が多い」受験においては、人よりも早く学ぶということが少なくとも学力試験においては有効なのです。

ただし、先取り学習は諸刃の剣であるともいえます。それは先取りに集中するあまり、足元の学習がおろそかになりがちという点です。娘は最終的にはサピックスで小5のカリキュラムがスタートして2か月ほどでこの状況に陥ってしまったため、私は躊躇なくP算数オンラインを停止することにしました。あと数か月頑張ればカリキュラムの卒業が見えてきたにもかかわらずです。

P算数オンライン自体は非常に優れたシステムだと今でも思っていますし、算数に対する考え方には私も同意する点が多かったです。オンライン授業でここまで充実したものは他にないと思います。コスパという面においても最強です。一方でカリキュラム上のデメリットもあります。それは基礎から応用までがものすごい速さで進んでいくという点です。先取りしているので当然ですが、大手進学塾よりもスピーディーに各単元の学習が進んでいきます。また、オンラインの為苦手な項目を何度も振り返って練習することができません。したがって、一度躓き始めるとその傷口が徐々に大きくなっていき、最終的には子供にとってひたすら苦痛な状況が続きます。また、ついていけないことに伴い受講に時間がかかるようになりますので、通常の塾のカリキュラムの学習を圧迫し始めます。すると、逆に塾での成績が落ちてくる現象に陥ります。(特に算数以外の科目において顕著に現れます。)もちろん、私が娘の自走を無理に推進したというのもありますが、娘の成績は年明けから徐々に低下し始め、春先にはついに平均を下回るまでになりました。そこで私はP算数オンラインを停止することに至りました。そこからは日々の学習に余裕も出てきましたので、娘の成績は回復し始めることになります。

娘が躓きを見せ始めたのは「割合」の単元が出てきてからです。当然どんな子供でもすんなり腹落ちはできない単元です。「売値は低下の1割5分引き」と言われてスッと計算ができるようになるまでにはどんな子供でも一定の練習時間が必要となります。P算数オンラインではここにあまり時間をかけることができません。時間をかけすぎる間に授業がどんどん進行していくからです。割合の考え方はその後の算数のベースになります。したがって、割合の理解が十分でないといろんなところで躓きが生じます。そして、最終的にとどめを刺されたのが「比」の単元です。比が出てくると問題の抽象度が一段と増します。そこで娘は完全についていく事ができなくなりました。親としては「ここまでやってきたんだからもうちょっと頑張らせたい」という気持ちがわいてきます。ただし、これは非常に危険な発想です。子供の状況を丁寧に観察しながら適切なアドバイスや判断をするのは親の重要な役割です。この考えは絶対に忘れてはいけませんので、躊躇なくある日突然停止するに至りました。

今、サピックスでは「割合」の単元の真っただ中です。今週はちょうどP算数オンラインで躓いていた「売買損益算」を学習しています。あれだけ躓いた割合ですが、サピックスで学習すると不思議とついていけます。なぜか?それはサピックスのカリキュラムがスパイラルであることと大きく関係しています。今の学習範囲はいうなれば「比較的シンプルな割合」です。また、基礎的な割合の学習に4週間ほど時間を使うことができますので、十分な時間を問題演習に充てることができます。「分からなければ10回練習すればいい、それでも分からなければ20回練習すればいい」そんな考え方で日々の家庭学習に取り組んでいますので、1週間も同じことを繰り返し練習していくとさすがに躓きません。(ただし、これには一定の時間が必要です。子供によって定着スピードは当然違いますので、定着するくらい時間をかける必要があります。)

小学3年生までは結局のところ四則演算の練習です。言っても分数・小数まででしょう。どんなに進度が早くてもこれくらいであれば何とかなります。しかし、4年生以降、特に5年生の内容になってくると実に多彩な技術の習得が必要となります。これが先取り学習にとっては結構ネックになってきます。子供が苦痛に感じるくらいであれば、バッサリと切り捨てる判断ができるかどうか、親の判断力が試されるところです。「子供の状況を最優先に考える」というのは中学受験の過程の中では意外に簡単ではありません。

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